こんばんは。
土曜日は、趣味に関する本や雑学収集本です。
大人こそ「事典」が面白い
入門書を読んでも初心者には世界観が把握できないのである。 では、その世界観を理解するには何を読んだらいいのか。答えは、その分野の事典である。
翻訳作業の序盤には、参考書籍の確認が欠かせません。特になじみのないジャンルの場合は、事典が本当に頼りになっています。Kindle Unlimitedで読める辞典が多いのも助かります。
知りたい情報が詳しく載っているだけでなく、ほかの箇所もざっと目を通すだけで、ジャンルへの親しみや理解がグッと深まります。翻訳者に大事な“なんちゃって専門家のフリ”を支えてくれる、心強い相棒です。
本日の一冊、成毛 眞(なるけまこと)さんの『教養は「事典」で磨け』でも、事典を使って分野に親しむ方法が推奨されています。「そう、事典ってこういうところがいいんですよね!」と共感しながら読みました。
事典はその分野を網羅するように編纂されているので、読み通せば全体感がわかる。また、各項目が独立していて一部分を読んでもわかるようになっているので、自ずと、重要な文言が繰り返し登場する。その様を見るだけで、この分野では何が大事なのかがわかってくるのである。 仕事などでまったく新しい分野の勉強が必要になった場合には、その分野の事典を読むといい。それも、簡単に読み通せるような薄くてコンパクトな事典がいい。何度も読むことで、全体像の骨格を頭の中に構築できる。それができたら、少し厚めの事典や一般書籍を読んで、骨格に肉付けをしていけばいい。
子どもの頃は、事典や図鑑のどこが役に立つのかピンとこなかったものですが、大人になると、仕事や日常で仕入れた知識をすぐ使うことができる。そんな即効性も、大人になってからの事典が面白い理由だと思っています。
辞書・辞典・事典・図鑑をまとめて「事典」と表記する本書では、事典を「生涯を通じて読むべき本である」と位置づけています。読者の“事典愛”をさらにブーストしてくれる一冊でした。
AI時代こそ事典
子どもの頃から、百科事典を最初から最後まで「楽しく読んでいた」という筆者。
さすがに著者のように全ページを愛読するのは簡単ではないですが、“引く”だけでなく“読む”ことで得られる効果は、AI時代の今こそいっそう重要なのかもしれません。そんなことを、今の季節にもピッタリな“クリスマスツリー”のエピソードを読みながら思いました。
五十音順に眺めていて目に留まったクリスマスツリーの項目は、12月に飾られるもみの木ではなく、石油掘削に使うリグ(やぐら)について説明していた。プロはそのリグをクリスマスツリーと呼ぶのだ。
思わず画像を検索しちゃいました。似て…る??
グーグルでこれを知ろうと思ったら、検索窓にはクリスマスツリーに並べて「掘削」とか「リグ」とかいった言葉を入力する必要があるだろう。しかし、リグをクリスマスツリーと呼ぶと知らない人に、「掘削」や「リグ」というキーワードは思い浮かばない。つまり、グーグル先生はキーワードを持たない人には何も教えてくれないのだ。
一方、事典を読むのにキーワードはいらない。適当にページを開けば、そこに必ず何かが記載されている。そのページをたまたま開いたという偶然が、未知を既知に変える。だから事典は素晴らしいのである。 事典は、引くものではなく読むもの。クリスマスツリーに出合ったときから、ボクはそう確信している。
「グーグル先生はキーワードを持たない人には何も教えてくれない」。これは生成AIも同じですね。「ちなみに情報」を自動でどんどん提示するように設定することもできますが、そうすると常にノイズ多めの文が返ってきてしまい、それはそれで扱いづらい状態になります。
だからこそ、
- キーワードを使って“ピンポイントで調べる”
- キーワードそのものを“増やす”
この2つを両輪として持つことが、AI時代を生きる大きなヒントになりそうです。
おすすめ事典が56冊も!
本書の後半では、著者おすすめの事典がなんと56冊も紹介されています。
『てにをは辞典』など、翻訳者に人気なものから、『世界毒舌大辞典』、『県別罵詈雑言辞典』、『官能小説用語表現辞典』など、「こんな事典あったんだ!」とという事典まで。これは、「趣味に関する本や雑学収集本」を扱う土曜日の題材に困ることはしばらくない!
事典を通じた“小刻みの知のインプット”は、私たちに教養や元気を与えてくれるーーそんな著者の言葉を引用しつつ、本日はここまで。
言ってみれば一般の書籍は長文のブログで、事典はツイッターである。構えずに眺めていればするすると中身が入ってきて、そして出ていく。この循環は案外と快適で、繰り返しているうちにその内容を覚えてしまうこともある。これが教養となって頭の中に蓄積されていくのである。 また、小刻みな知のインプットが刺激となって、元気が出てくることもある。本を読む気力が失われていると感じたら、事典を読むことでウォーミングアップをするのもひとつの手だ。
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