こんばんは。
土曜日は、趣味に関する本や雑学収集本です。
令和のお仕事図鑑
子どもの頃、「将来なりたい仕事」を考えるのも、人と話すのも好きでした。まあ、今思うと世代的にも地域的にも選択肢はかなり限られていたし、移り気でしょっちゅう変わっていたのですが。学校で渡された「お仕事いろいろ」的な本も、楽しく全職種を読んでいたのを覚えています。
本日は『宇宙人とみつける仕事図鑑』を紹介します。Kindle Unlimitedの読み放題タイトルです(執筆時点)。
私が子どもの頃にあったお仕事図鑑に比べると、取り扱う仕事の数がまず多く576種類! AIエンジニアといった新しい職業も紹介していますし、縁の下の力持ちな職業もたくさん。たとえば、プロのスポーツ選手は難しくてもスポーツインストラクターや健康運動実践指導者の存在を知ることは、職業選択時にかなり選択肢が広がりそうです。
子どもも大人も知りたい576の仕事のつぶやき
本書の主人公は12歳のユメオ。宿題で出た「将来の夢」についての作文に頭を悩ませていると、宇宙人のワーピスト「ワプリン25号」が現れます。ワーピストは星と星をワープでつなげる宇宙人には欠かせない仕事。ですが、ワプリンはどうやらワープが苦手で、ワープに失敗したためユメオとしばらく一緒に過ごします。
将来やりたい仕事がまだよくわからないユメオと、家族がみんなワーピストだからワープが苦手でもワーピスト以外ないと言うワプリン。二人は地球の町に出かけ、様々な仕事をする人たちを見ていきます。
ワプリンの「心の声イヤホン」で仕事中のつぶやきを、「データ見スコープ」で「仕事内容/その仕事に就くためには/その仕事の特殊能力/つらいとき・うれしいとき」の情報を見ていく、という内容のフルカラーお仕事図鑑です。
例えば、校正者のつぶやきはこちら。
あ、『明鏡国語辞典』には、この言い回しは誤用って書いてある……。でも『てにをは事典』には載ってるから、大丈夫?
『てにをは事典』が出てくることで、グッと信頼感が高まりました。これは、他の仕事の人たちのつぶやきも実際にその職業の方が読んだら「あるある」と頷いたり笑ったりするのかも。
もちろん、翻訳者もあります!
ここ、直訳だと「ぼくは真剣に話してるんだから、ちゃんと聞いてくれ」だけど、長いな。テンポがくずれる。リサのこのセリフのあとだから「茶化さないで」にする? う~ん。
イラストではヘッドホンをつけているから映像翻訳者かも? 「データ見スコープ」で見た「うれしいとき」にも共感です。
外国語にしかない表現を、ぴたっとくる日本語に置き換えられたとき。
自分と同じ仕事のつぶやきに共感するだけでなく、「こんな仕事があったんだ」「あの人の仕事ってこんな感じなんだ」「全然違う仕事だけど、このつぶやき、分かる……!」など、すでに仕事をしていたり、仕事をしている人とたくさん関わってきた大人だからこその面白さも。翻訳者としては、扱う翻訳案件に出てくる職業への解像度が上がるのも嬉しい。ぜひ大人の方にも読んでいただきたい一冊です。親子で読むのも素敵ですね♪
「なんで仕事をするのか?」 「自分に合った仕事とは?」
本書では職業の紹介だけでなく、給与明細の読み方や「なんで仕事をするのか?」といったコラムもあり、大人も考えさせられます。「ワープの苦手なワーピスト」ならではの仕事もあるのではとユメオがワプリンに伝える場面からも、職業は自ら作っていけるという気付きを改めて得ることができました。
ユメオとワプリンの冒険も終わりとなったとき、ユメオは、大人でも気が付いていない人が多いかもしれない大事な点に気が付きます。
そっか、ぼく、仕事の中から夢を選ぼうとしてたんだ。
「あなたの夢は何ですか?」って聞かれたら、ふつう「学校の先生になりたい」とかって答えるでしょ。でも、同じ「先生」でも、心の中は一人一人ぜんぜんちがう。だから…… 「何の仕事につきたいか」じゃなくて、「どんな人間になりたいか」が夢なんだ。
(中略)
夢って、明日が楽しみになれば、何だっていいのかもしれないね。
これに対するワプリンのエールは、ユメオだけでなくたくさんの子どもにも大人にも届いてほしい。引用して、本日はここまで。
そうだね。それに、どんな道に進んだって君は大丈夫だよ。
だって、チキュウの仕事、どれもおもしろそうなんだもの。
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