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【読書日記78】『字幕翻訳虎の巻 聖書を知ると英語も映画も10倍楽しい』

こんばんは。
土曜日は、趣味に関する本や雑学収集本です。

字幕翻訳者による聖書案内

私の宗教との関わりというと、初詣には神社に行き、クリスマスはお祝いして、お葬式はお寺からお坊さんに来ていただいて、といった典型的な日本人スタイル。そして、翻訳業といってもガッツリ技術系なのもあって、宗教や聖書とは関わらずに過ごせていたのでした。

ですが、非技術系にも手を広げようとしているいま、せめて「これは聖書っぽいぞ」と当たりをつけられるくらいまでに知識をつけたいと思っているところです。

本日は『字幕翻訳虎の巻 聖書を知ると英語も映画も10倍楽しい』を紹介します。元ワーナー・ブラザース映画製作室長の著者による聖書案内です。成人してから信仰と出会った著者だからこそか、信仰とのつながりが薄い私にも分かりやすい一冊でした。

聖書を知っていれば訳文が変わる

本書の第一部では、そもそもの「聖書とは」やキリストの生涯といった基本的な知識をおさらいしつつ、日本人にも親しまれている映画や文学にどれほど聖書が色濃く影響を与えているかを解説しています。

私が携わっていた外国映画の字幕翻訳の上で、あることばが聖書由来であることを伝えるためにどれだけ苦労したか、また翻訳者がそれを知らなかったために、時として誤訳をしたり、原意を充分に伝えなかったりして修正にどれほど苦労したかなどの話は枚挙にいとまがなく、「押さえておきたいキリスト教のことばのキモ」の中にも、そんなトピックが結構出てくる。

この出だしから始まる聖書を知っていれば字幕がここまで変わる」では、具体的に原音、翻訳者さんの初訳、著者の改定訳と解説が紹介されています

取り上げている作品がいかにも聖書が絡みそうな作品ではないのにも、目から鱗が落ちる思いでした。まさに本書の帯にも書かれているように「あの人たち(欧米人)にとって聖書は常識。それ抜きで翻訳は、あり得ない」ですね。

本棚に置いておきたい「聖職者の呼び方」表

読み物だった第一部とは性格が変わり、第二部は資料集。正直なところ、以前だったら「ふ〜ん」と一読して終わったかもしれません。

ですが今はこれがお宝情報だと分かります! それだけでも自分の成長を感じるおめでたさ(笑)。

資料集のなかでも特に嬉しかったのは「聖職者の呼び方」でした。

そして、多岐にわたる宗派に関して、翻訳者にいちばん必要な情報は、おそらく「聖職者の呼びかた」であろう。明らかに神父の服装をしている聖職者に対して「牧師」という訳語があてられていたり、その逆だったりすることがあるが、これはカトリック信者やプロテスタント信者が見れば一目で、「違う!」と違和感を覚えてしまうもの。

また、牧師であっても、面と向かって呼びかける時は「〇〇牧師」ではなく、「〇〇先生」というのが一般的。どの宗派のどの聖職者を、一人称ならどう呼び、三人称ならどう呼ぶか、辞書をいくら引いても分からないが、絶対に必要な情報を載せているので、ぜひ、活用していただきたい。

呼びかけについては、「書簡の宛て書き」「口頭の呼びかけ」「会話での言及」と表形式でまとめられています。本当にありがたい……。

最近は図書館を積極活用していますが、本書は買ってよかった! 辞書の隣に常駐してもらいます♪

※※※

キリスト教の知識をと思い土曜日の雑学収集家枠にしたけど、さすがタイトルに「字幕翻訳虎の巻」と書くだけあって、金曜日の翻訳の本でも良かったと思うくらい即効性のありそうな知識を入手できた一冊でした。

***

本書が気になった方は、こちらから購入できます。

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この記事を書いた人

企業にて、産業翻訳の翻訳、チェック、ディレクションに従事。
フリーランスにて、映像翻訳と読書ブログ運営。
観劇と、ヨガ・ピラティスが好き。

(このサイトはアフィリエイト広告を掲載しています。)

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