こんばんは。
金曜日は、翻訳に関する本です。
ご近所には、同業者がいっぱい?
本日の一冊は、山形浩生さん著『翻訳者の全技術』です。
今年2025年2月に発売された本書は、通っている図書館でたくさんの予約が入っていました。
「これは、いつ予約が繰り上がって借りられるんだろう?」と思いつつ、
「こんなタイトルの本を借りたがるのは、やっぱり翻訳者さんや翻訳志望者さんが多いのでは?」と想像がふくらみます。
普段ご近所ですれ違っている人たちのなかにも、翻訳者がいるのかも。そんなことを考えると、なんだか嬉しくなっていました。
それにもかかわらず、晴れて借りられてからの2週間はバタバタ。返却日の朝の時点でもまだ冒頭しか読めていませんでした。
それでも、「同業者さんを待たせるわけにはいかない!」と、謎の使命感を胸にカフェで読書合宿を決行。
無事に読みきって、返却できました!

そんなふうに、翻訳に関する新刊を気にしている“見えない同業者さん”の存在を感じながら読んだ一冊です。
「ある翻訳者の読書論、勉強論、人生論」
本書は山形浩生さんのインタビューをまとめた一冊で、ライブ感のある口調のまま「翻訳・読書と発想・好奇心を広げる」技術について語られています。
第1章 翻訳の技術
第2章 読書と発想の技術
第3章 好奇心を広げる技術
読み始めてすぐに浮かんだのは、「これは、期待を裏切られた読者もいるだろうな」という感想でした。
『翻訳者の全技術』というタイトルから、真面目な翻訳者さんや翻訳志望者さんであれば、翻訳者に必要とされる具体的な技術の項目がまず網羅され、それぞれについての著者の具体的なアプローチや体験談がある、「翻訳大全」のような一冊を期待しそうです。
ですが本書は、そうした実用書というよりも、山形さんというひとりの翻訳者が、翻訳の話にとどまらず、ご自身の人生で大事にしてきたことを語る、エッセイに近い一冊だと感じました。
営業的な意図もあるのでしょうが、個人的には、タイトルは『翻訳者の全技術』よりも、見返しに書かれたサブタイトルや締めの表現の方が良かったのではないかと思っています。
異才の翻訳者はいかに本を読み、訳しているのか
(中略)
~まで縦横無尽に論じた、翻訳者・山形浩生の読書論にして勉強論、人生論。
うん、これならピッタリ!
依頼なしに、読んで訳してしまう
200冊以上の訳書がある山形さんですが、本業は政府開発援助(ODA)のコンサルタント。
本業ではない翻訳業、そして「翻訳すること」そのものに対する姿勢は、かなり独特です。
さらに、普通の翻訳者はあくまで仕事としてやっているので、出版社から依頼があって初めて翻訳をする(んだと思う)。が、ぼくはそういう普通のルートは、いまだに三分の二くらいかな。かつては、もっと少なかった。残りは、別に依頼があって仕事としてやっているわけではない。単に自分がおもしろいからやってしまったというだけだ。
お金になれば嬉しいけれど、往々にしてぼくはそのために翻訳をするわけではないからだ。むしろ、興味を持った文章やテーマを自分が理解するために翻訳をするのがメインだとすら言える。
翻訳が本業・専業の人のなかには、「翻訳を道楽のようにとらえていて、けしからん」と不愉快な思いを抱く方もいるかもしれません。
私の場合は、「たとえ翻訳するボリュームが専業の方より減ろうとも、翻訳も含めて複数の収入の柱を持ちたい」と考えているので、むしろ共感し、少し羨ましさも感じました。
「収入にこだわりすぎず、翻訳の仕事をしたい」と思っていましたが、本書を読んでみて「収入にこだわりすぎず、翻訳をしたい」にスライドできる余裕をつくりたいと感じるように。やはり『職業、お金持ち。』のときに学んだ「セブンポケッツ」を持たねば、と改めて思いました。
-お金や経営の本-300x150.png)
そんな余裕があってこそ、本来自分が読んでみたい文章、訳してみたい文章を、もっと自由に読んで、訳していけるんだろうなと思います。
翻訳の実作業における技術の話は多くありませんでしたが、私にとっては、これからの翻訳や読書との向き合い方も考える機会をくれた一冊でした。
***
本書が気になった方は、こちらから購入できます。
※一部の広告ブロック環境では表示されない場合があります。その際は広告ブロックを解除してご覧ください。
-翻訳に関する本.png)
コメント