こんばんは。
月曜日は、英語や日本語に関する本です。
英文法が分かった方が、原書はもっと面白い
英文法を解説する本では、例文はどうしても短文や単文になりがちです。
そんな文法書だと、文法知識そのものは理解できても、「この文法を使うからこそ、この文章は物語/文書のなかで効果的なんだ!」という実感まではなかなか得にくいもの。英文法に“勉強感”がつきまとってしまう一因かもしれません。
本日の一冊は、北村一真さんの『名文で学ぶ英語の読み方』。童話・短編・長編の物語を題材として取り上げながら、英語原文を文法の観点から丁寧にひもといていく一冊です。
なじみの物語で、英文法が腑に落ちる
本書は3章立てで、下記の童話・短編・長編を題材にしています。
第1章 童話で読む英語
[1.1]『北風と太陽』(“The North Wind and the Sun”)
[1.2]『嘘をつく子ども』(“The Shepherd’s Boy and the Wolf”)(「オオカミ少年」の方がピンとくるかも)
[1.3]『ウサギとカメ』(“The Hare and the Tortoise”)
[1.4]『金の斧』(“Mercury and the Workmen”)
第2章 短編をじっくりと味わう
[2.1]ラフカディオ・ハーン『雪女』(“Yuki-Onna”)
[2.2]アンブローズ・ビアス『ジョン・モートンソンの葬儀』(“John Mortonson’s Funeral”)
第3章 長編に挑戦する
[3]ジョージ・オーウェル『動物農場』(“Animal Farm”)
『ジョン・モートンソンの葬儀』と『動物農場』以外は、ほとんどの日本人にとってなじみがある物語。個人的には「第1章の拡大版で、イソップ物語をもっとこの形式で読みたい!」と思いました。それくらい、もともと知っている短い物語を、英文法に着目しながら読んでいくことは本当に面白い体験でした。
本書は以下の流れで構成されています。
・作品のあらすじ紹介
・まずある程度のまとまりで英語原文を掲載
・構造分解
・文法解説
構造分解は、学生時代の英語の授業で先生が板書していたような、「ここが主語(S)で、ここが動詞句1(V1)、ここも動詞句で並列になっていて(V2)、ここは分詞構文」といった、アレです。「長文や文章力を楽しみたい文章でこそ、構造を意識すると読解がこんなにスムーズになるんだ!」と驚かされます。
それに、童話や短編は読み聞かせることもあるからか、リズムができやすい分詞構文が多め。他にも仮定法や倒置など、文法書だけだとややこしく思えるルールも、物語の文脈の中で読むことで自然と腹落ちしていきます。
SBクリエイティブ社のサイトで試し読みもできます。
『北風と太陽』と『嘘をつく子ども』部分は丸ごと読めるので、まずはここから試してほしい!
https://r.voyager.co.jp/epm/e1_372151_30072024111419
英語好きこそ、文法をスルーしているかも?
英語がある程度わかる人、そもそもその文書や物語を知っている人、そして英語学習で「多読」にチャレンジしている人ほど、細かい部分をあまり気にせずに「なんとなく読めてしまう・読んでしまう」傾向もあるのではないでしょうか。
翻訳者であっても、自分が訳すわけではない場合は、とにかくガンガン読み進めてボキャブラリーを強化する方に舵を切ってしまいがちかもしれません。
そんなときに見落としてしまうかもしれない例として、第3章『動物農場』のsurelyの解説を引用しつつ、今後はもっと英文法を意識して原書を読んでいこうと決意して、本日はここまで。
You did not suppose, surely, that there was ever a ruling against beds?
構造は非常にシンプルですが、surelyの用法に注意が必要です。「確かに、きっと、間違いなく」などの訳では意味が通りません。実はsurelyには否定文で用いて、「まさか…しないよね」と確認する文をつくり出す用法があります。
例:Surely, you can’t be serious?
「まさか、本気じゃないよね」ここはまさにそのパターンで、全体は「まさか、ベッドで寝ることを禁じるルールがあったなどと考えたのではないだろうね」という意味になります。
***
本書が気になった方は、こちらから購入できます。
※一部の広告ブロック環境では表示されない場合があります。その際は広告ブロックを解除してご覧ください。
-英語や日本語の本.png)
コメント