こんばんは。
土曜日は、趣味に関する本や雑学収集本です。
洋楽ファンはめんどくさい?
少し前に翻訳学校で音楽モノのドキュメンタリーを扱いました。そんな話を、まだ「レコードショップ」と言われていた頃に店員をしていたという方にしたら「洋楽ファンは愛すべきメンドくさいヤツらだから翻訳する人は大変そう」と言われてしまう。
本日は、そんななかでもう少し知識をつけたいなと思い、図書館で手にした一冊を紹介します。
『ミュージック・ライフ大全』。60年代から1998年まで月刊発行された音楽雑誌『ミュージック・ライフ』の歴史が詰まっていました。なんと昨年2023年4月の発売。根強い人気を感じます。
人も時代も分かる情報がたくさん
本書の主な構成は、ロック史を飾ってきた主要記事の再掲と、各号の表紙や目次コレクション、1964年から1997年までの「ML人気投票」結果、歴代編集長&関係者によるスペシャルインタビューなど。個別のアーティストだけでなく、「~年ってこんな感じだったんだ!」と時代もつかめる情報が豊富に掲載されています。
「ミュージシャンの(自分の曲以外の)好きな曲ベスト10」の企画なんて、ドキュメンタリーを翻訳するときにかなり参考になるのでは。
好きな舞台や映画・ドラマで出てきたり、親が好きで子どもの頃のドライブミュージックだったりしたアーティストに「ああ、あの人がこの文脈で出てくるのか!」と理解が深まる機会でもありました。今なら「推しの推し」への理解と愛を深めるキッカケにもなるかも♪
写真集でもあると言えるほど、ビジュアルページもたくさん。来日時の写真では皆さん日本を楽しまれている様子も分かり、なんだかホッコリもします(新選組の衣装を着てポーズしているブームタウン・ラッツが気になって、彼らの曲を聴きながら今この記事を書いています。チョロイ(笑))。
メディアの裏には、いつも通訳者と翻訳者が
当たり前ですが、洋楽スターたちのインタビューを雑誌に載せるには、裏には通訳者・翻訳者さんの存在が。原音を想像したりするのも楽しい読書でした。
笑っちゃったのは1973年のデヴィッド・ボウイの記者会見をレポートした記事。
Q:貴方のような人を見て,世も末だと嘆いている人もいますが……。(会場爆笑)
ボウイ:Oh!(笑)もしかしたら本当に終わりかもしれません。僕からそういう人に対して云うべきことは何もありません。
(中略)
予定ではPM2:00から30分の記者会見になるはずだったが、終わったのはなんと3時半を廻っていた。
<1973年5月号>
あら、デヴィッド・ボウイさん、面白い(笑)。そして、このときの通訳者さんのパフォーマンスを見たかった!
他にも、ファックスすらなかった(!)時代の海外出張の様子だったり、日本からの手土産文化がはじまったエピソードだったり、国際コミュニケーションに興味があったり仕事にしている人にとっては面白く読める部分もたくさん。それに、随所に、「自身がホレたアーティストを日本で広めるんだ!」というメディアとしての意欲やプライド、充実感もちりばめられていて、エンタメ系翻訳者さんは共感できるところも多そうです。
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全部の内容が頭に入ったわけでもなく、ましてや知ったかぶりなんてとてもできないけど、「洋楽ファンは愛すべきメンドくさいヤツら」と言われていた方の気持ちが前より理解できたように思います。知識を少し増やせただけでなく、「洋楽熱」に触れることができました。
今後、音楽モノの案件を翻訳するときには参考資料として再び手に取りたいなと思った一冊でした!
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