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【読書記録100】『物語思考 「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術』

こんばんは。
日曜日はビジネス書や自己啓発本の日です。

日本人には「物語思考」

本日は、『物語思考 「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術』です。本書の冒頭では、日本人の価値観について、こんなふうに語られています。

日本の伝統芸能は、茶道や武道など、「道」という言い方をすることがあります。これは「ゴールがどこか」よりも、「どうやるか」という過程のほうが大事ということの表れなのではないかと思っています。
 道には基本的には終わりがありません。こうした点からも、日本人はゴールすることよりも、ゴールまでの道のりを極めるほうが好きなのではと思うのです。

また、日本人は場面ごとに自分のキャラを自然に変える柔軟さを持っている、とも指摘されています。

日本人はSNSなどにおいても、アカウントをたくさん持つ傾向にあります。アイデンティティは一つではなく、人との相対的な距離感で自分のキャラが決まったりしがちです。家の自分と、学校や会社の自分、友だちといるときの自分でキャラが全然違うという人も少なくありません。

そんな日本人は、「やりたいこと」やゴールにこだわりすぎるのではなく、「物語思考」の方がしっくりくると紹介しています。

このように日本人は過程を大事にする傾向があるのと、自分のキャラクターをある程度自在に変えることができるので、欧米的な「自分のミッションを決めて、それに向かって邁進する」といった方法論よりも、「自分のキャラを決めて、それを演じ切る」という「物語思考」のほうがしっくりくるんじゃないかなと思っています。

このキャラだったらどう行動するか

本書では、物語思考には5つのステップがあると紹介されています。

【物語思考の5ステップ】
1. 自分を制限している頭の枷を取る
2. なりたいキャラクター像を設定する
3. そのキャラを実際に動かす
4. そのキャラが活きる環境を作る
5. そのキャラで「物語を転がす」

ステップ2「なりたいキャラクター像を設定する」では、自分がなりたい状態や憧れの人物をワーク形式で書き出し、「キャラ像」を具体化していきます。

そしてステップ3「そのキャラを実際に動かす」では、日常生活の中で「そのキャラならどう行動するか?」を意識して行動してみる、という内容。

「このキャラだったらどう行動するか」というリストを作り終わったら、実際にそのとおりの行動を試しにしてみましょう。やっていくうちにだんだんキャラの性格に近づいていきます。
 正確に言うと、自分の性格が変わっちゃうのではなく「そういう性格の人がしそうな行動をできるようになる」ということですね。

映画やドラマ、あるいは有名人や身近な誰かに影響を受けて、自然と振る舞いが変わることってありますよね。それを意図的に、戦略的に取り入れていくアプローチといえそうです。

そしてステップ4「そのキャラが活きる環境を作る」も大きいです。特に、新しい一歩を踏み出すときには、「応援してくれる人を増やす」ことが効果的なのだとか。

人間は現状維持を望む傾向があるので、急に親しい人や友達が変わってしまうと不安に思うからです。変わらないでくれよ、と思ってしまうんですね。なので、「近い人ほど応援してくれる」というのは幻想で、むしろ、遠い人や、知らない人などから新しく応援してくれる人を探すほうがいいのではないかと思います。

「これまでの環境を手放す」だと抵抗感がある人は、「環境を広げていく」というイメージだと良さそうです。

そのキャラで「物語を転がす」

ステップ5の「そのキャラで物語を転がす」という考え方があると、失敗さえも俯瞰して見られるようになりそうです。

さて、ここまできたら、あとはそのキャラで物語を進めていくだけです。

 小説や漫画などの物語では、「主人公がいろいろな挑戦をして、失敗したり成功したりしながら成長していく」のが王道です。
 それと同じように「物語的に自分の人生を客観視してみて、読者目線でおもしろいと思えるように生きていく」というやり方がおすすめです。(中略)
 新しいことに挑戦するのは誰だって怖いです。リスクがあったらなおさらです。なので、みんな、いろいろ自分に言い訳をして、挑戦しないわけです。
 それを乗り越えるためには、自分を客観視して「物語だったらどうなると盛り上がるか?」と考えるのが有効です。そうすると、人生で挑戦する回数が増えて、チャンスが増えていきます。

たしかに、「いったい何ヶ月それについて悩んでるんだ!」「あのときの決意はどこに行った!」なんてツッコミたくなる展開って、読者・視聴者目線で見ると、間延びしていて退屈に感じるかもしれません。

逆に、今までだったらゲンナリしていたような“クセ強め”な人物に出会っても、「物語的にこの出会い、何の伏線なんだろう?」なんて面白がることもできそうです(笑)。

***

自分というキャラクターを掘り下げて、自分の物語に向き合うこと。「物語思考」は、翻訳という仕事にも、いい影響を与えてくれそうな気がしています。

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この記事を書いた人

インハウスで産業翻訳の翻訳、チェック、ディレクションに従事。
フリーランスでの映像翻訳と読書ブログ運営とのマルチキャリアを模索中です。
観劇と、ヨガ・ピラティスが好き。

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