こんばんは。
月曜日は、英語や日本語に関する本です。
試験勉強のその先へ 「使える」「使いたくなる」文法学習を
オールカラー、おそらく全見開きページにイラストが入っているレイアウト、解説文のカジュアルな文体から、「英語嫌いの初心者向け」と誤解する人もいるかもしれませんが、それがどうして、かなりの上級者向けな一冊。
本日は、そんな『一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法』を紹介します。周りの翻訳者にもファンが多い英文法書です。
正直なところ、TOEICなどの試験対策なら、文法用語の索引付きの辞書的な文法書のほうが短期的には便利だと思います。本書はどちらかというと、「試験対策にとどまらず、ネイティブの感覚をくみ取ったり表現したりしたい上級者向け」の文法書です。
「英語は配置のことば」で長年のモヤモヤも解決
文法書というだけあって、大小の単元に分かれているのですが、まずは冒頭の「英文法の歩き方」だけでも読んでもらいたい! 東進さんがPDFでサンプル版を公開してくださっています。
https://www.toshin.com/books/pdf/eibunpou_sample.pdf
そのうちの一部を紹介します。
英語にこうした基本文型があるのは,英語が配置のことばだからです。
(中略)
このように,配置を変えると意味が変わってしまうのです。 場所と意味がガッチリ結び付いた配置のことば。それが英語です。だからこそ,主語や目的語など分の要素がどこに・いくつくるのかを示す基本文型が,英文の絶対の基礎となっているのです。基本文型は文の設計図なのです。
基本文型って、一番初めに習ったきりで、後々出てくる倒置などの文法事項はまったく別の単元とされがち。試験では良い結果が取れるかもしれませんが、「いざ英文ライティングや英会話、深い読解の段階になると歯が立たない」のは設計図がおぼろげだからかもしれません。
修飾に関しても「前から限定(限定ルール)」・「後ろから説明(説明ルール)」でこんなにも色々と説明がつくんだと“気持ち良いやられた感”があります。
本書では繰り返し基本文型にも立ち返って配置についての解説がされているので、これまで腑に落ちないけれどとりあえず知識として暗記していた文法事項について改めて体系的に理解することができます。
実は「翻訳者にとっての文法書」だった?
「試験対策にとどまらず、ネイティブの感覚をくみ取ったり表現したりしたい上級者」。まさに翻訳者のことですね!
いえ、こじづけではなく例えば日本人翻訳者が日英翻訳をした案件で英語ネイティブが英訳文のみチェックする「ネイティブチェック」での修正を見ていると、本書で繰り返し解説されている「ネイティブの心・気持ち」で説明できる部分が多いのです。
英訳だけでなく和訳でも、試験で必要とされるような「英文和訳」の段階を越えて「英日翻訳」に進むと、コアとなる気持ちをつかみきれていなければピタッとはまる日本語にはなかなかたどりつくことができません。
改めて、本書が翻訳者に愛用されるのも納得です。
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私自身、ネイティブチェックをしてもらって感動したり自分の思いの読み取れなさや表しきれなさに脱力したり、まだまだ修行中。改めて本書をもっと手に取っていこうと思っているところです。アプリも試してみようかな?
一緒に頑張りましょう!
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本書が気になった方は、こちらから購入できます。
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