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【読書記録138】『霞が関官僚の英語格闘記「エイゴは、辛いよ。」』

こんばんは。
月曜日は、英語や日本語に関する本です。

(下半期、年明けの時点で予想はできていたのですがやはりバタバタに。約2週間のお休みを経て、元気にブログを再開します。移動中に耳読書は進めていたのでネタは沢山!)

霞が関官僚が綴る、英語にまつわる悲喜こもごも

あちこちに興味を持ってしまうタチなのですが、実はゆる~い政治オタクでもあります。最近は、通勤時に視聴しはじめた政治系ドラマがなかなか面白そうで、電車時間が楽しみです。

本日は、大矢俊雄さんの著書『霞が関官僚の英語格闘記「エイゴは、辛いよ。」』のレビューです。

政治家による著書もたまに読みますが、日々裏方として政治を支える“官僚”の視点から書かれた本も読んでみたいなと思っていたところに、このタイトル。「官僚×英語」というワードに心をつかまれて手に取りました。

国際会議や大臣とのやりとりといった舞台裏の話も興味深く、英語をめぐる“悲喜こもごも”なエピソードがたっぷり。堅そうなテーマにもかかわらず、思わずクスッと笑えるユーモアが随所にちりばめられていて、勉強にもなった一冊でした。

「エイゴ」は、愛すべき“あの野郎”

1986年に当初の大蔵省に入省した著者。なんと高校1年生のときに英検1級の筆記に合格していたというから、もともとかなりの英語力をお持ちだったようです。

それでも、社会人になってから海外のホテルで「Eggplant(なす)」を卵料理だと勘違いしてオーダー。結果、日本人男性2人でプールサイドにてなすを食べる朝食に……。こんなエピソードからも、「エリート官僚」像とのギャップが楽しく描かれています。

プライドが高そうなイメージのある“官僚”という職業ですが、自分の失敗や悩みもさらけ出しているところがこの本の魅力。「エイゴ」という表記からも、英語を「愛すべきあの野郎」的な存在として付き合っている雰囲気が伝わってきます。

知的なユーモアが効いた文体で、失敗しながらも少しずつ進んでいく様子がとてもリアル。ビジネスで英語を使う日本人、とくに失敗を恐れてしまうタイプの方には刺さる一冊だと思いました。

そして、時おり登場する「Column エイゴで楽になるために」も実践的。私が「これいいな」と思ったのはこちらの表現です。

会議での発言中、英語表現が頭に浮かばず真っ白になってしまった場合
これも、突然やってきます。日本語だと適当に凌げるのにエイゴではできない。
私はいつも、
I am now looking for the right words.
(今ちょっと適切な言葉を探している最中です。)
と言って、さも交渉な表現を模索しているかのように振る舞います。それで時間を稼いでいるうちに何か出てくるでしょう。
ネイティブの中にこういう時にYou knowとかI meanとかIt is like…等を連発する人がいます。でも、日本人がこういうことを言うのはかなり不自然なので、止めた方がいいと思います。

You know、I meanなどに対して、海外作品や推しの喋りではしっくりくるのに、自分が使おうとすると妙に浮いてしまう——そんな違和感に共感しつつ、「これは使えそう!」と感じたフレーズでした。次のプレゼン時には、ノートにメモしておこうと思います。

「エイゴは、辛いだけじゃないよ」

英語にまつわる失敗談や苦労話が満載の本書。でもその一方で、「エイゴ」を使っていろいろな壁を乗り越えてきた記録でもありました。

そんな乗り越えた経験をふまえて、著者は「エイゴは、辛いだけじゃない」という思いを込めてこの本を書かれたようです。

日々、「エイゴ」と格闘する人たちへの共感とエールだと感じるあとがきの文章を引用して、本日はここまで。

エイゴは、辛いよ、と言ってきたが、本当はエイゴ自体が辛いのではない。エイゴを使って、他の国のこと、他の国の人のことを知ろうとし、またはこちらの言いたいことを伝えようとし、壁にぶつかり、自分の至らなさを責める。そうした我慢の日々が続くと、辛いと思うのである。
 でも、多分、それは乗り越えられる。いっぱい勉強して、試練に耐えながらも心を込めてエイゴを話せば、突然、お互いに分かり合える瞬間が来る。それは至福の時である。自分にとっても、そして願わくば相手にとっても。

***

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この記事を書いた人

企業にて、産業翻訳の翻訳、チェック、ディレクションに従事。
フリーランスにて、映像翻訳と読書ブログ運営。
観劇と、ヨガ・ピラティスが好き。

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