こんばんは。
水曜日は、小説・エッセイ・漫画本の日です。
読みたい本が一気に増える読書エッセイ
本日は、俳優・小林聡美さんのエッセイ集『わたしの、本のある日々』のレビューです。
小林さんは、パンやマフィンのCMの影響か、「この人のすすめるご飯はおいしそう」という信頼感がある女優さんです。
そしてそれは本についても同じ。タイトルにもある「日々」を、等身大のまま味わっている印象の小林さんが、どんな本を取り上げているのか。気になって手に取った一冊です。
紹介されている作品は、どれも読みたくなるものばかり。Audibleで聴いていたのですが、タイトルをメモしようと慌てて再生を止めたことが何度もありました。
毎月の、2冊の本と自分の暮らし
本書は、2016年から「サンデー毎日」に月1回連載されていた記事をまとめたエッセイ集です(ちなみに、文庫版では収録回が増えたそうです。これから読むなら文庫がいいかも!)。
その連載では、「毎月2冊の本を選び、それについて何かしら書く」というのが決まり。選ばれる2冊は、著者も作風もまったく異なることが多いのですが、小林さんの語りを通して、思いがけない共通点や、日々のエピソードとつながる“落としどころ”が見えてきます。
1冊だけと向き合う読書とはまた違う、広がりのある読書体験。そんな面白さを教えてくれました。このブログではつい「1投稿1冊」になりがちですが、私も「2冊と自分の暮らしからの、自分ならではの読書」をしていきたいと感じました。
また、小林さんは紹介する本の文章をまったく引用せず、すべて自分の言葉で語っているのも印象的でした。私は素敵な言葉を残しておきたくて引用を使いがちですが、引用に頼らず自分の言葉で語る姿勢、大事にしていきたいなと思います。
読書家でなくとも「本好き」と言っていい
読書家でなくても、本は読む。本は好きだ。
「まえがき」にあるこの一文からはじまり、本書は「本は好きだけど、読書家と名乗るほどでは……」と本を好きだと言葉にするのをためらってしまいがちな私たちの心を、ふっと軽くしてくれます。
たとえば村上春樹の作品を取り上げる回では、「世界中に“ハルキスト”という熱心なファンが存在する著者だが、何を隠そう、私はこの作品が初ハルキだ」と堂々と宣言していて、通勤中に聴いていて思わず吹き出してしまいました。
読書ブログを立ち上げてはみたものの、私も自分の読書の量や質に対してはあまり自信がありません。それでも、日々手に取る一冊一冊からは何か得るものがあったり、純粋に読む時間が楽しかったり。
「読書家でなくても、本は読む。本は好きだ。それでいいのだ!」と、改めて読書に対して前向きになれる一冊でした(ちなみに、本書の中にもバカボンのパパは登場します!)。
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