こんばんは。
金曜日は、翻訳に関する本です。
Kindle Unlimitedに入った~!
年に一度発行される、イカロス出版さんによる『通訳者・翻訳者になる本』。タイトルからは通訳・翻訳志望者にのみフォーカスしているような印象もあるかもしれませんが、実際には現役で通訳・翻訳に関わっている人にとっても、「年に一度の業界研究」として価値のある一冊だと思います。
例年、1月末に最新号が出たタイミングで、前年号がKindle unlimitedの読み放題タイトルに入っていたのですが、2026が出ても2025が読み放題にならず「もうKindle unlimitedに入らないようになったのかな……」と悲しんでいました。
ところが! なぜか2025を飛ばして2026が読み放題タイトルに。何かの権利の問題なのか、疑問は残りますが、ありがたく2016を読んだので投稿します。今回も知っている方がたくさんいらしたのも嬉しいポイントでした♪
ちなみに、エージェントやスクールのリストこそ最新版が良いものの、記事自体は前年までの号も読みごたえがあります。以前に投稿した『通訳者・翻訳者になる本2024』の回も良かったら。

どの分野にもAIが
通訳・翻訳についてこれから勉強したいという人にも分かりやすく、通訳や翻訳にはどんな仕事があるのかと多岐にわたる分野を紹介している本書。
2026年号は、程度の差こそあれ、通訳・翻訳のあらゆる分野にAIが浸透してきていることが分かる一冊でした。機械翻訳をエディットする「ポストエディット・ネイティブ」が増えつつあるというのも業界の変遷を感じますね。
ネット上ではどうしてもAI反対派の声の方が目立ちがちですが、実際の業界動向に目を向けるためにも、こうした業界誌の役割はやはり大きいとあらためて実感します。
AIやAI翻訳導入によってのプラスの効果も沢山紹介されていました。私自身も、新しい翻訳分野を開拓し始めたタイミングで生成AIがそばにあって助かった場面が沢山ありました。
これからも良い相棒として付き合っていくために、AIに関する前向きな情報や効果的な使い方に、しっかりアンテナを張っていきたいと思います。
2026年号のスペシャルインタビューは菊地浩司さん!
2024年号では戸田奈津子さんが登場していた巻頭のスペシャルインタビュー、2026年号もまた、日本の字幕翻訳界を牽引してきた重鎮、菊地浩司さんが特集されています。
3月に鎌倉市川喜多映画記念館で開催された企画展示「映画字幕翻訳の仕事 ──1秒4文字の魔術」に行ってきたのですが、そこで菊地さんが制作・出演している「ビデオで学ぶ映画字幕翻訳講座」が流れていたのです。

しっかり座って、がっつりメモも取りつつ、約30年前の菊池さんのお話を「受講」したばかりだったので、今回の誌面で「再会」できてテンションが上がりました。
また、そのビデオ講座にはワーナー・ブラザーズ(当時)の小川政弘さんも。先日投稿した『字幕翻訳虎の巻 聖書を知ると英語も映画も10倍楽しい』を思い出し、感動しながら視聴していました。一つの学びが、他の学びとつながって線になる瞬間ってワクワクしますよね♪

そんな個人的な思い入れもあって、インタビューは読みごたえたっぷり。全部紹介したい気持ちをぐっとこらえ、特に印象的だった3つを引用して、本日はここまで。
人に興味を持てることも大事。アクションだろうとホラーだろうと、肝心なのは「感情」です。人に興味がないと、いい台詞は訳せないと思います。
ムダな台詞は訳さない。だからよく“アウトの名人”って言われるんだよね。字幕なんて邪魔なだけだから、少なければ少ないほうがいい。ウチの会社のチェッカーには「この台詞がアウトになっているので、入れておいてください」とか言われることもあるけど、余計な言葉がなくても映画を見ていればわかるだろう、と。これが僕の持論です。
映画って観てるだけで楽しいから、この仕事がおもしろくないわけがない
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投稿時点では、AmazonではKindle Unlimitedの読み放題タイトルです。
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