こんばんは。
さあ今日は土曜日で何の趣味本にしようかとウキウキしていたら、昨日投稿予定だった記事について、まさかの予約投稿の日付を間違うという凡ミスをしておりました……。3ヶ月、100日連続投稿を迎えてあと少しで4ヶ月だったのですが、無念です……。
改めまして、土曜日ですが、翻訳に関する本の投稿です!
プロセスに分解しての翻訳指南書
本日は『翻訳スキルハンドブック』を紹介します。翻訳に必要なスキルや実践的なレッスンに加え、翻訳を5つのプロセスに分解してアプローチする方法が紹介されている点が特に魅力的です。
本書で紹介されている翻訳の基本プロセス。「英日翻訳の基本プロセス」とされていますが、日英翻訳や他の言語の翻訳でも役立つ考え方だと感じました。
原文分析
→ストラテジー
→翻訳
→校正
→納品
このプロセスを意識することで、「翻訳文の制作作業」としての精度が上がり、「翻訳ビジネス」としての視点も養われると思います。
校正は、プロセスも意識も分けて考える
翻訳が一通り終わった後、そのまま納品するのではなく、翻訳者自身が行うセルフチェック「校正」が欠かせません。同じ作業者が行うからこそ、「翻訳」と「校正」は別工程であると明確に意識したいところです。
本書の「第7章 本悪のプロセスと基本スキル5 校正スキル」は65ページ! たっぷり校正について語ってくれています。冒頭の校正の楽しさについても共感します。
翻訳を大学で学んでいた頃に、ある先生から「校正は、翻訳という仕事の中で一番楽しい部分だよ」といわれたことがあります。
原文を翻訳していく段階は、「一から訳文をつくり上げていく」作業です。もちろん、それは楽しい作業ではありますが、リサーチや言葉遣いの検討など、複数のタスクを平行して行う、骨の折れる作業でもあります。
しかし翻訳作業をひととおり終え、訳文がある程度形になったあとは、ほぼ訳文のブラッシュアップだけに意識を向けられます。対象作業が絞られることで、より集中して言葉と向き合える校正段階のことを、先述の先生は「楽しい」と説明されたのだと思います。
ポイントを絞って訳文を見直すことで、ミスを修正し、より良い表現が見つかる。そうやって訳文が洗練されていく過程を見るのは、確かに楽しい作業です。私はよく彫刻の最後の仕上げもイメージします。
翻訳チェッカーもしていると、自然に翻訳と校正を別工程として意識できます(なので、チェック業務からはじめたり、翻訳とチェック両方やるのも個人的にはありだと思っています)が、個人翻訳者の方で作業フローがまだ組み立て段階の方には本書が大きな味方となってくれそうです。
翻訳は、プロセスと対処法を知れば上達する
翻訳という言葉でひとまとめにせず、プロセスごとに紹介し、「翻訳は、プロセスと対処法を知れば上達する」という考えのもと、多くのアプローチを提示している本書。翻訳学習者にも現役の翻訳者にも勇気を与える著者の言葉を引用して、本日はここまで。
むしろ翻訳者に不可欠なのは、「最適な考え方」を学ぶことです。ここでの「最適な考え方」とは、「理想的な訳文をつくるのに必要なプロセスを知り、翻訳作業中に現れるさまざまな問題を、適切なスキルで処理するための思考」を意味しています。
翻訳は、練習を重ねるほど上達します。勉強をした分だけ、スキルアップが約束される仕事なのです。ですから、自分の才能の有無に悩むだけの時間は、あまりにもったいない。その時間を「最適な考え方」の学習に充てるほうが、よほど生産的で、翻訳スキルを上達させる近道になります。
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