こんばんは。
水曜日は、小説・エッセイ・漫画本の日です。
推しの推しは?
本日は、小川糸さんのエッセイ『たそがれビール』のレビューです。
『食堂かたつむり』や『ライオンのおやつ』などで知られる小川糸さん。実は、私が応援している俳優さんが好きな作家でもあります。
「推しの推し」が気になり、さらにはタイトルの「たそがれビール」と可愛らしい表紙に惹かれて手に取った本書、日本とドイツを軽やかに行き来する様子や、それぞれの場所での生活を楽しむ描写が沢山の一冊でした。
日本とドイツの二拠点生活エッセイ
コロナ禍までは日本とドイツを行き来していた小川さん。本書(2015年刊行)は、「(タイトル) 日付」の形で、一年を断続的に綴る日記エッセイになっています。
日本でもヨーロッパでも、小川さんは各地を訪れ、小さなおともだち「ららちゃん」とのデート、美術館、コンサート、サーカスと、かなりアクティブな日々。
その移動の多さや、1話(=1日)ごとの分量の短さ、日記という形式もあって、全体としてとても“軽やか”な印象があります。ここは人によっては“軽さ”となり、好みが分かれるところかもしれません。
私の場合は、Audibleで耳から聴いたのもあってか、すっかりミーハーな文系女子心をくすぐられてしまいました。「こんなふうに、心地よい住処をいくつも持ち、移動しながら物書きや翻訳ができたら!」と、つい夢を見てしまいます。
ドイツやデンマークの料理も本当に美味しそうで、パン屋さんやカフェに行きたくなる描写がたくさん!
もちろんすぐに海外との二拠点生活は難しいですが、つい家にこもりがちになる日常のなかで、「ちょっと電車や新幹線に乗って出かけてみようかな」と、気持ちも体もふっと軽くなる感触がありました。
作家だからこその、翻訳者としてのまなざし
小川さんには、作家だけでなく翻訳者としての顔もあります。
絵本の翻訳も手がけており、本書では、「アングランドさんの絵本 2月20日」と「待つよろこび 11月2日」にて、アメリカの児童書作家・イラストレーターであるジョーン・ウォルシュ・アングランドの作品の翻訳作業について綴られています(「ともだちはどこ?」「はるになると」「クリスマスがやってくる」の3作品)。
自らも物語を紡ぐ小川さんだからこその、丁寧なまなざしと表現への配慮が感じられる場面が印象的でした。そんな思いが表れた部分を引用して、本日はここまで。
アングランドさんの絵と言葉の、やさしい雰囲気を乱さないように。
そして、含蓄のある内容が、簡単な言葉で届くように。
(※Audibleを聴いての書き起こし。表記は未確認です。)
***
本書が気になった方は、こちらから購入できます。
コメント