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【読書記録37】『複業の教科書』

こんばんは。
火曜日は、お金や経営に関する本です。

「副業」でなく「複業」という考え方

翻訳という仕事は、昔から「副業」の選択肢に入りやすい仕事とも言えますね。今のようにテレワークが普及する前から、いったん個人で完結しやすかったり、自宅でできるという点も大きかったように思います。

そんな副業、昔は「会社に隠れてコッソリと」なイメージが強かったですね。実際にそういう側面が大きかったものの、近年は「副業解禁」の声が大企業だけでなく中小企業からも聞こえてきます。

いずれは翻訳を本業にと考え「まずは副業から」と始める方、給与収入以外に事業収入が欲しい方、さらには翻訳一本ですでに事業展開されている方にとっても、日本での副業のあり方の変化は気になるところです。

そこで、本日は『複業の教科書』を紹介します。Kindle unlimitedの読み放題タイトルです(執筆時点)。

本書では、日本における副業解禁の動きについて改めて解説し、単純に「副収入のための副業(Side Job)」ではなく、「やりたいことへチャレンジし、キャリアパスを開拓するための複業(Multiple Work)」を提案しています。著者自身が、複業によってキャリアパスを開拓できたエピソードも詳しく語られています。

(私は最初Audibleで聞いたのですが、本書では同じ「フクギョウ」という音での混乱を避けるためにAudible版では「副業」をSide Job、複業をMultiple Workと言い換えていました。単純にその使い分けを面白いなと思うとともに(吹替翻訳の参考になった♪)、定義の違いが分かりやすくなっていたので、Audible版もおススメです。)

2018年は「副業解禁元年」だった! コロナ以降の今は?

本書の発行は2018年。その年は国や大企業が「副業解禁」へと大きく舵を切った年でした。

 さらに国や大企業側もいま、副業を推し進めようとしています。
 2018年、厚生労働省が示したモデル就業規則では、それまで掲載されていた「他の会社等の業務に従事してはいけない」という項目が削除され、「他の会社等の業務に従事することができる」という項目が追加されました。
 つまり、副業「禁止」が、「可能」へと、180度の方針転換が発表されたのです。
 そして、ロート製薬を皮切りに、ソフトバンク、日産、丸紅、さらには神戸市という自治体までもが、副業解禁を発表しています。
 2018年は副業解禁元年と言われました。

こうやって見ると、本当に大改革ですね。令和よりも副業解禁の方が先輩だったというのも、改めて驚きました。

 2015年の調査では「副業を推進していないが容認している」と答えた企業の割合は14.7%だったのに対し、3年後の2018年に「副業を推進している」「副業を容認している」と答えた企業の割合は28.8%に。
 わずか3年で約2倍に増えているというのは、急速な変化が起きている証拠です。

ここで、ではコロナ以降のいまはさらに加速しているのか?と調べてみました。上記情報の出典元とされる株式会社リクルートキャリアの「副業・兼業に対する企業の意識調査」から現在では集計の方法や言葉を変えているようなので単純な比較が難しいのですが、「副業兼業に関する調査2024」では、6割を超える企業が副業を容認していると伝えています。

 副業を容認する企業も増加傾向にあり、パーソル総合研究所の調査によれば、2023年には60.9%の企業が副業を容認し、正社員の副業意向率も40.8%と高止まりしている。複業禁止の企業の従業員に対するアンケート調査も、半数以上が副業の解禁を要望している。

(出典:株式会社ユーザベース/株式会社ミーミル/マカイラ株式会社「副業兼業に関する調査2024」)

業界がますます複雑になってきそうでもありますが、翻訳以外でも収入の柱を作りたい人にとっては朗報かも? うまく情報収集しつつ、自分にあった働き方を見つけていきたいですね。今回、リクルートや厚生労働省のレポートを見ていたら、兼業・副業にかける時間や得た収入など、様々な調査が図解も豊富に解説されていて興味深かったです。

「複業を成功させる五カ条」

「やりたいことへチャレンジし、キャリアパスを開拓するための複業(Multiple Work)」ですが、成功にはやはり秘訣があり、本書では「複業を成功させる五カ条」として紹介されています。

「複業を成功させる五カ条」
一 先義後利(目先の儲けに走らず、貯信せよ)
二 本業専心(本業で成果を出すことにこだわれ)
三 公明正大(”伏業”にするな。周囲に共有せよ)
四 自己管理(睡眠時間を削ってはいけない)
五 他者配慮(家族、上司、同僚への感謝とリスペクトを忘れるな)

自分が上司・同僚・部下の立場でも、五カ条をクリアできている人は応援したくなる! 逆にクリアできていない場合を考えるとやっぱり否定的になってしまうから、改めて自分の振る舞いを客観視していきたいですね。

さらには、「複業を実際にしてみることで、改めて自分の適性や気質に気づける。たとえ、向いていなかったことが分かったり多少の失敗をしても次につながるような収穫がある」といった部分にも共感しました。

翻訳業に憧れつつも、がっつりデスクワークが性に合わないことが分かって翻訳ディレクターになった方とかもいらっしゃいますし、翻訳という仕事への解像度を上げるためにも、退路を断つ前にまずは翻訳してみてほしい。お金を払う立場にはなりますが、翻訳学校に通って、一定期間「締め切りがある翻訳」を自分に課すのも一つの手だと思います。

チャレンジしたい「やりたいこと」がある人も、これから見つけたい人にとっても、読みながら自分のキャリアパスへの考え方を整理できる一冊でした。

***

本書が気になった方は、こちらから購入できます。
投稿時点では、AmazonではKindle Unlimitedの読み放題タイトルです。

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この記事を書いた人

企業にて、産業翻訳の翻訳、チェック、ディレクションに従事。
フリーランスにて、映像翻訳と読書ブログ運営。
観劇と、ヨガ・ピラティスが好き。

(このサイトはアフィリエイト広告を掲載しています。)

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