こんばんは。
金曜日は、翻訳に関する本です。
翻訳チェッカーだけでなく、翻訳者にも必要な「翻訳チェック力」
「翻訳ミスってどんなものがあると思いますか?」と聞かれて、すぐに答えられない場合は黄信号かも?
翻訳チェッカーはもちろん、翻訳者自身も「翻訳チェックスキル」を磨くために「翻訳ミスの世界」や「不適切な翻訳の世界」にも触れたいところです。
本日は『技術翻訳のチェックポイント: 技術英文の作成と評価』を紹介します。「技術翻訳」「技術英文」とあって、英語テクニカルライティングや技術系の日英翻訳についての本なのですが、翻訳テクニックや翻訳プロジェクトの進め方など、言語方向やジャンルに問わず重要な考え方や知っておきたい表現がたくさん収録されています。
「良い翻訳」だけでなく「良くない翻訳」を知るのは大事
翻訳のトレーニングで有名なのは「良い翻訳」をリタイプする「写経」でしょうか。もちろん、とっても力になるんですが、「これは良くない」という翻訳の例を知っておくことも大事。
本書では、TES (Translation Evaluation System)の評価項目ごとに、日本語の原文と「NG翻訳」と「OK翻訳」が例示されています。単に良い翻訳を覚えるだけではなく、「こんなミスはしないように」と意識することで翻訳スキルを上げるのに役立ちます。
「テクニカル」と聞くと技術系以外の方は専門性の高い科学技術的な文章を想像されるかもしれないですね。ですが、本書の例文には理系の専門知識はあまり問われない文章が多く使われています。
【原文】男の子はステッキを使って女の子のほうを指した。
✕The boy pointed at the girl using a stick.
✓Using a stick, the boy pointed at the girl.
✓The boy, using a stick, pointed at the girl.
こちらの✕や✓の理由も、日英併記で解説してくれているのもうれしい!
また、TES (Translation Evaluation System)の評価項目が一覧になっているフォームも収録されています。自分の翻訳が実際どうなのか、セルフチェック体制を構築する際の下敷きにしてもいいですね。
海外取引に役立つ表現も?
本書は単に技術的な文章の翻訳演習のみならず、翻訳評価プロセスについても日英併記で解説されています。
特に海外クライアントへのCV作成など、マーケティング活動にも使える表現をストックする機会にもなるかもしれません。
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技術系の日英翻訳をしつつ、英日やエンタメ翻訳をトレーニング中の身としては「技術翻訳」「技術英文」と書いている本に対して、もちろん技術系の日英翻訳者に読んでほしいけど英日の人にも技術系以外の人にも参考になるのに!とやや悔しい思いをすることも。
言語方向やジャンル違いの方にも届いたらうれしいです!
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本書が気になった方は、こちらから購入できます。
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