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【読書記録90】『つい他人と比べてしまうあなたが嫉妬心とうまく付き合う本』

こんばんは。
日曜日はビジネス書や自己啓発本の日です。

「こんな作品がよく書けたと思って、ものすごく嫉妬しました」

英国舞台を映画館で楽しめるNTLive(ナショナル・シアター・ライブ)シリーズ。トークショーがある作品は、できるだけその回を選んで観劇するようにしています。

3年前の春に公開された 『ブック・オブ・ダスト〜美しき野生〜』のトークショーでは、作家の村山由佳さんと東京大学教授の河合祥一郎さんが登壇されました。

『ブック・オブ・ダスト』自体の素晴らしさはひとまず置いておいて(でも、アンコール上映時はぜひ観ていただきたい!)、個人的に衝撃を受けたのは、このトークショーでの村山由佳さんと河合先生の発言でした。

お二人とも、原作や舞台演出について「こんな作品がよく書けたと思って、ものすごく嫉妬しました」「悔しいほど上手い」と、爽やかに楽しそうに語っていたのです。

それまで私は「嫉妬」に対してネガティブな印象しか持っていませんでした。けれど、プロフェッショナルな人たちは、他人やその業績に対する「嫉妬」とポジティブに向き合っているのだと、このトークショーを通じて実感しました。

そんな「嫉妬」という感情に興味を持つようになり、手に取ったのが本書。本日は『つい他人と比べてしまうあなたが嫉妬心とうまく付き合う本』を紹介します。Kindle Unlimitedの読み放題タイトルです(執筆時点)。

嫉妬は潜在意識を教えてくれる

心理カウンセラーが執筆した本書では、嫉妬という感情のメカニズムを、潜在意識と顕在意識の観点から解説しています。

顕在意識とは私たちが自分で自覚できる意識や感情のことで、潜在意識とはふだんは意識しないけれど何かの拍子に思い出せる意識や感情のことです。

本書によると、他人に嫉妬する瞬間には潜在意識が顔を出しており、さらに言えば、潜在意識の中で『自分にも可能性がある』と思っているからこそ嫉妬が生じるのだそうです。

歌手で紅白出場を目指して1年間頑張って来られたのであれば、出場歌手に嫉妬を覚えたかもしれません。
同様に、あなたはミシュランのレストランガイドで星を持っている料理人に嫉妬するでしょうか。そこに嫉妬を覚えるのは、それだけ腕に覚えのある料理人だけですよね。(中略)
つまり私たちは「手に入れたいと思わないもの」「手に入らないとわかっているもの」「自分にとって大切ではないもの」に対しては嫉妬しないのです。
あなたが嫉妬を感じるものというのは、あなたにとって欲しいものであり、大切なものであり、どうでもよくないものなのです。しかも、手に入らないものには嫉妬しないわけですから、「本当は手に入ることを、心のどこかで理解しているもの」に対して嫉妬を覚えるわけです。

確かに、私は紅白出場歌手やミシュランシェフには嫉妬しません(笑)。「いやいや、そんなに簡単に手に入らないから」と思ってしまうかもしれません。ただ、その判断を下しているのは「顕在意識」なのだそうです。

おそらく、ほとんどの人は頭に「?」がいくつも浮かんでいるか、「いや、そうとは思えない」「そもそも言っている意味がよくわからない」などと感じているのではないかと思います。
無理もありません。というのも、この「手に入れることができると知っている」というのは、先ほどの「潜在意識」のお話であり、顕在意識では「手に入らない」と思っているわけですから。

本書では、顕在意識がなぜ「不可能」と判断してしまうのか、そのメカニズムを解説するとともに、発想を転換するための具体的なアプローチについても紹介しています。マインドブロックや嫉妬に悩んでいる方は、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

自分も、あの人も、あのキャラも。みんな嫉妬をしている。

本書では、タイトルのとおりの「自分の中の嫉妬に気づき、それをポジティブに転換し、行動に移すためのアプローチ」に加えて、「他人のネガティブな言動が、実は自分への嫉妬であることもある」とも解説しています。

自分の嫉妬に悩んで本書を手に取るような人は、「まさか自分が嫉妬されるなんて」と意外に感じるかもしれません。それでも、「誰しも無意識のうちに嫉妬することがある」と知れたことで、日々を健やかに過ごすヒントを得たように思います。

翻訳者にとっても、心理学を学ぶことは有益だと聞いたことがあります。登場人物の感情やターゲット読者のニーズをより深く理解するためにも、「嫉妬」を出発点に潜在意識の観点から感情を深掘りすることは翻訳に役立ちそうですもちろん、潜在意識を意識しすぎるあまり、訳文がネタバレにならないよう注意が必要ですが、丁度良いバランスを探るのもまた、楽しい作業ですね。

***

本書が気になった方は、こちらから購入できます。
投稿時点では、AmazonではKindle Unlimitedの読み放題タイトルです。

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この記事を書いた人

企業にて、産業翻訳の翻訳、チェック、ディレクションに従事。
フリーランスにて、映像翻訳と読書ブログ運営。
観劇と、ヨガ・ピラティスが好き。

(このサイトはアフィリエイト広告を掲載しています。)

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