こんばんは。
火曜日は、お金や経営に関する本です。
グミから学ぶ、令和のマーケティング
グミ、大好きです!
どれくらい好きかというと、“北欧の至宝”と呼ばれるデンマーク出身の俳優マッツ・ミケルセンのことを、作品でもなく、脅威の来日頻度でもなく、「日本のグミが好きらしい」という情報で好きになるくらい、好きなお菓子です(はたして、この説明は分かりやすいのか?)。
本日は、『グミがわかればヒットの法則がわかる』のレビューです。グミの定義や歴史にとどまらず、最近のグミブームを社会学やマーケティングの観点からひもといています。
マーケティング用語や手法も多く紹介されており、「身近な存在を軸にマーケティングを学べる」一冊とも言えます。マーケティング翻訳に携わる翻訳者にはもちろん、自分自身をマーケティングしていくフリーランス翻訳者にとっても、ヒントの多い内容でした。
令和は「グミ>ガム」?
2021年、グミの市場規模がガムの市場規模を上回った──。これは菓子業界の方にとってはもちろん、一般消費者、さらには「グミ派」の私にとっても、かなり衝撃的なニュースでした。
ガムの企画・製造・販売にかかわっている方もいる中、「面白い」と軽々しく言うのはためらわれますが、本書で分析されているこの逆転劇の背景はとても興味深かったです。
大きな要因は、やはりコロナ禍。マスクが普及し、人との接触が減ったことで、口臭ケアとしてガムを好んでいた層のニーズが減少。その一方で、「小腹が空いたとき」「口寂しいとき」の選択肢として、グミに注目が集まったと分析されています。
「風が吹けば桶屋が儲かる」を改めて感じます。このような現象を学び、攻めのマーケティングに繋げられる人や企業は、今後より成長しそうですね。
さらに、「ガムはゴミになるけれど、グミはそのまま飲み込める」という違いも、ガム離れ・グミ転向の大きな要因とされています。確かに、ゴミ箱も減りましたもんね。
もしかすると、映画やドラマでガムを噛んでいるシーンも、今後は「平成の映画やドラマで観た」とか、言われちゃうのでしょうか?
グミ派の私ですが、本書を読んで「ガムも頑張って!」と応援したくなりました。
購買力だけでなく、発信力に注目する時代
本書は、グミブームの背景に「若年層の発信力」があることにも言及しています。
「Z世代は購買力こそ高くないものの、SNSでの発信力がある」「Z世代の投稿が、購買力のある上の世代の購買行動を動かす」といった現象は、まさにSNS時代ならではの流れだと感じました。
購買や発注といった「直接的な行動」に注目するだけでは、見落としてしまう影響力が確かにあるのかもしれません。ぞんざいな態度とまではいかなくても、「この人(会社)は取引先じゃない」とスルーしてしまうような姿勢では、気づかないうちに大きなチャンスを逃しているのかも──そんな気づきを与えてくれる一節でした。
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