おはようございます。
今日は、小説・エッセイ・漫画本の日です。
AI時代、改めて星新一が面白い
超短編小説とも呼ばれる「ショートショート」。
本日は、そんな「ショートショートの神様」と称される星新一の作品を紹介します。
星新一作品の精巧さには、何度も驚かされます。
まずは純粋に読書として楽しんで驚き、次に自分でも小説を書いてみたあとに読み返して驚き、そしてAI時代のいま、時代を先取りしていたことに気づいて改めて驚かされるのです。
本日は、その代表作のひとつ『ボッコちゃん』。
50編のショートショートが収録された新潮文庫では表題作品となっています。
Audibleの聴き放題対象タイトルでもあります。
完璧な美人ロボット「ボッコちゃん」
そのロボットは、うまくできていた。女のロボットだった。人工的なものだから、いくらでも美人につくれた。あらゆる美人の要素をとり入れたので、完全な美人ができあがった。
「ボッコちゃん」は、バーのマスターが道楽で作ったロボット。
美人で、簡単な受け答えだけができる存在です。ときおりマスターが中身を回収するため、お酒もいくらでも飲める――そんなボッコちゃんに、店の客たちは次第に魅了されていきます。
「きれいな服だね。」
「きれいな服でしょ。」
「なにが好きなんだい。」
「なにが好きかしら。」
「ジンフィーズ飲むかい。」
「ジンフィーズ飲むわ。」
感情を持たない存在と、人間の側の勝手な期待や思い込み。
そのズレが、限られた文字数のなかで静かに、しかし確実に不穏さを積み上げていく構成は見事です。
AI時代に読む「ボッコちゃん」
AIとチャットを交わせる今だからこそ、私たち読者はボッコちゃんの美しさと恐ろしさを、これまで以上に実感できます。
とくに、AIを情報収集の手段にとどまらず、ひとつの心の拠り所としている人にとっては、どこかドキッとさせられるやり取りを引用して、本日はここまで。
「もう来られないんだ。」
「もう来られないの。」
「悲しいかい。」
「悲しいわ。」
「本当はそうじゃないんだろう。」
「本当はそうじゃないの。」
「きみぐらい冷たい人はいないね。」
「あたしぐらい冷たい人はいないの。」
「殺してやろうか。」
「殺してちょうだい。」
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