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【読書記録127】『通訳翻訳ジャーナル 2025 SUMMER』

こんばんは。
金曜日は、翻訳に関する本です。

最新号レビュー

通訳・翻訳業界の季刊誌『通訳翻訳ジャーナル』。業界の動向や、自分とは異なる分野の仕事内容に触れる機会として、毎号楽しみに読んでいます。

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『通訳翻訳ジャーナル』は、年に4回、下記のスケジュールで発行されています。

2月21日:SPRING
5月21日:SUMMER
8月21日:AUTUMN
11月21日:WINTER

冬号はともかく、それ以外はファッション誌のように季節先取りスタイルです。(本日も、私の住まい近くはまた急に寒くなって、暖房をつけながらの「夏号」の紹介です。)

ということで、先週 5月21日に発売された最新号『通訳翻訳ジャーナル 2025 SUMMER』をレビューします。

(大特集)特許&法務分野の通訳・翻訳

『通訳翻訳ジャーナル 2025 SUMMER』のメイン特集は、特許&法務分野。2号前の『2025 WINTER』でのメディカル分野とは異なり、私にとってはなじみ深い分野です。扱う文書やおすすめの資料にも「そうそう!」とうなずいていました。

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なかでも印象に残ったのが、司法通訳者さんのインタビュー記事です。

無意識のバイアスや差別意識を持たない

司法通訳の現場では、被疑者=犯罪者という先入観を持たないことが重要です。被疑者も被害者も、等しく尊重されるべき存在であり、被疑者に対して差別意識などを持ってはいけません。通訳人は常に中立で、言語に忠実であり、感情や個人的な価値観を交えてはいけません。

私の場合は民事ですが、法務文書を翻訳するときには、まず「クライアントはどちらの立場か」を把握するようにしています。ただ、その意識が強くなるあまり、片方に肩入れしていないか…と自分を振り返るきっかけにもなりました。

常に中立で、言語に忠実であり、感情や個人的な価値観を交えてはいけない」。これは通訳者だけでなく、翻訳者にとっても重要なポイントですね。

生成AI活用ドリルが連載スタート

機械翻訳(MT)や生成AIに関する話題がますます増えるなか、立教大学の山田先生による新連載「生成AIを翻訳のスキルアップに生かすためのドリル」がスタートしていました。

いろいろと議論が発生しやすいMTや生成AIですが、実際のプロンプトや出力例を示しながらの解説は、ややネガティブな印象を持っている人にも、興味深く読めそうな内容です。

第1回では、解釈や表現の幅を広げる具体的なアプローチが紹介されています。とくに、「示した訳文以外にどのような解釈が考えられますか?」の問いに対して、合計3つの解釈が回答された事例が印象的でした。

正直、私がすぐに思いついたのは2つだけでした。もちろん実際の案件では、前後の文脈や図面などが解釈の助けになってくれるものの、視野の広がりを助けてくれそうという期待感が持てました。

プロンプトに原文情報を入れない、毎回そんなことはしてられないなどの事情はありつつも、山田先生も仰っているように、学習者にとっても現役翻訳者にとってもトレーニングツールとしての価値はありそうです。

このように生成AIが自分だけでは思いつかなかった解釈の可能性を示してくれることがあります。筆者もCの読み方はすぐに思いつきませんでした。実務において毎回このような検討を行う必要はありませんが、翻訳練習においては、自分自身の視野を広げる意味で非常に有効だと思います。

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この記事を書いた人

企業にて、産業翻訳の翻訳、チェック、ディレクションに従事。
フリーランスにて、映像翻訳と読書ブログ運営。
観劇と、ヨガ・ピラティスが好き。

(このサイトはアフィリエイト広告を掲載しています。)

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